10月1日、「鳥取県牛肉販売協議会 設立20周年記念大会」が盛大に開かれました。
この記念すべき大会に、鳥取県旅館組合青年部長としてお招き頂きました。
鳥取和牛利用促進プロジェクトをご評価いただいたのか、式典の中で時間を割いて「取り組み事例発表」をさせて頂きました。
鳥取県は「神と言われた気高号」を出した、かつては和牛先進地でしたが、現在生産地間競争に苦戦している状態です。
私どもの旅館業界も県産和牛のブランド化に期待するところが大であるところを力説させていただきました。
以下、お話させていただいた内容をご紹介申し上げます。
【祝辞とお礼】
本日は、「鳥取県牛肉販売協議会20周年記念大会」の開催、誠におめでとうございます。このような盛大な会にお招きいただきまして、光栄至極でございます。まずもってお礼の言葉を述べさせていただきます。
【自己紹介】
先程ご紹介を賜りましたが、あらためて自己紹介をさせていただきます。
私は鳥取県旅館ホテル生活衛生同業組合の青年部長をしております福元と申します。長い名前ですので簡単に申しますと、県の旅館組合理事兼青年部長でございます。旅館は皆生温泉の松月という旅館をやっております。
【組織規模】
県の旅館組合には、全部で141の旅館ホテルが加盟しており、そのうち旅館は120軒、ホテルは21軒でございます。青年部は21軒の旅館の若手で活動しております。
【活動の背景〜個人志向】
私どもの青年部は昨年来、起死回生の思いを込めて鳥取和牛利用促進プロジェクトを進めております。
我が業界はここ10年来市場動向が大きくチェンジし、団体旅行の時代から個人のお客様が圧倒的となりました。この15年間で全国の旅館数は3割も減り53,000軒となりました。鳥取県の入湯客数はこの10年間で148万人から110万人と2割以上減です。昔は旅館では数種類の会席コースを何百人にお出ししていればお客様は満足された時代が長く続きました。それが今や、一人一人のお客様の望む料理を提供しなくてはいけない時代になりました。つまり「十人一色」から「十人十色」に、そして「一人十色」に変わりました。
【地元の美味しいもの】
青年部では、この時代に対応していかなければならないということで議論を深め、メイン料理に地元の美味しいものをどんどん出していこうということになりました。
【リクルート調査】
リクルート社の調査によりますと、国内旅行の目的のダントツ1位は「温泉」ですが、最近赤マル急上昇のキーワードは「地元の美味しいもの」だそうです。旅行先では地元の美味しいものを求めるグルメ志向が強まってきているといえます。
【県産牛を切り札に】
鳥取県は水産王国でありまして、松葉ガニを代表とする水産資源にはことかきませんが、松葉ガニは冬限定の商品となります。しかも都市部でカニ専門店が増えたことなどから、最近では松葉ガニを食べにわざわざ山陰までお越しいただく方は減ってきています。一方で特に若いお客様は肉食を好まれ、ステーキとかの牛料理を望まれます。
そこで、四季を通じて提供できる県産牛はどうかとの意見が出ました。県産牛に絞ると仕入れが上がりますが、その分高く売ることが出来ますので旅館にとって利益率が上がります。地元産の高級和牛はわれわれ旅館の集客の切り札だと思ったのです。
他県の例を見ますと、「ブランド牛あるところ、有名温泉あり」で、三大和牛の生産地にはそれぞれ神戸ビーフの有馬だったり、松阪牛の伊勢志摩、近江牛の尾琴、山形牛の蔵王があります。
【勉強開始】
そこで、みんなで鳥取和牛について勉強しようということで、県の農林水産部さんや和牛販売協議会さんに講師になって頂いて、勉強させていただきました。
恥ずかしながら、和牛の等級や部位のことを詳細に学んだことも今までなかったもので、大変良い勉強になりました。また歴史や背景も教えて頂き、かつては神と呼ばれた「気高号」を輩出した和牛王国であったことが分かり、素晴らしいストーリー性をみんなで痛感いたしました。鳥取和牛は自信をもってお客様にお出しできるし、旅行エージェントさんにも自信を持って特集を組んで頂こうということになりました。
【宣伝・売込み】
旅行エージェントさんでは農協観光さんが「鳥取和牛すきやき食べ放題」企画をされておられましたが、JTBさんにお願いして鳥取和牛を扱っている旅館をセレクトした「鳥取和牛と島根和牛食べ比べ企画」を今年の春からエース商品として販売して頂きました。またリクルートじゃらんさんには関西じゃらんにおいて、鳥取和牛を編集記事として取り上げてもらうことにもなっております。
【現地視察】
また青年部では勉強会のあとに現地視察も行いました。ちょうど宮崎口蹄疫の真っ最中の5月ですが、肥育現場を実際に見学させていただき、素晴らしいこだわりと情熱で鳥取和牛を育てておられるのに感銘し、青年部員一致して鳥取和牛を自信を持ってお出ししようと、気持ちを新たにいたしました。
【理事会でプレゼン】
その後、県の旅館組合の理事会で、青年部のこの鳥取和牛プロジェクトをプレゼンする機会を頂き、県下各旅館組合の理事長さんたちに和牛のことを力説させていただきました。県産和牛は仕入れが高いとか、流通量が少ないとかの意見もありましたが、先程申しました神と言われた気高号の話で付加価値が高いことを皆さんに理解して頂いて和牛プランをつくっていただいたようです。
【和牛プラン続出】
今日取り組みを発表するということで、昨日ネットで県内旅館ホテルさんで県産和牛の扱いはどうなっているのかと調べましたところ、昨年冬に比べまして、多くの旅館ホテルさんで県産和牛プランを作られていることにとても驚きました。
旅館ホテルはお客様の気の引くためにプラン名にこだわります。ネーミング次第で集客が変わるくらいです。
現在プランに「県産牛」や「鳥取和牛」と入れられている旅館さんは、なんと全県で36軒もの旅館ホテルが鳥取県産和牛のプランを作っておられました。春先には数軒しかなかったのですが、本当にビックリです。中でも中部と西部の旅館さんが積極的であったことと、主要な旅館さんではほとんどと言ってもいいほど鳥取和牛を売り出してきております。
【料理講習会予定】
今後はより一層鳥取県産牛を扱うこととともに、牛の上手な料理法、上手な部位の活用法を勉強したいと考えております。
旅館は和会席が主体ですので、西洋料理と違って今まであまり牛をお出ししてきませんでした。お出ししてもフィレやロース。料理法についてはステーキかしゃぶしゃぶに限られます。
しかし、何も高い部位を使わなくても、モモなどのほかの部位を上手に料理すればとても美味しく頂けるということを現地研修会で教えて頂き、今月か来月に部位と料理法の研修会を開き、県下旅館ホテルのオーナーと調理長に参加していただきたいと思っております。
【宿泊施設パンフと指定登録増加とキャラバン】
また、先ほど申しました県産和牛プランを出している宿泊施設を取りまとめたパンフレットを作成したいと考えております。そのパンフに載る旅館は鳥取和牛販売協議会の指定店登録を受けた旅館を考えています。そのパンフを全国の主要エージェントやマスコミ媒体に送付したり、都市部で宣伝キャランバンなどに利用したいと考えております。
【がんばろう】
話はとりとめもなく、長くなってしまいましたが、私達旅館ホテルは生死を分かつ食材として鳥取県産牛にとても期待しております。生産現場・流通の現場ではとてもご苦労があるかと思いますが、鳥取和牛の全国ブランド化を目指して旅館ホテルもともに頑張ってまいりたいと思います。今後ともよろしくお願い申し上げます。
以上、簡単ではございますが、取り組み発表とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。ご清聴ありがとうございました。
以上がお話させていただきました内容でございます。
式典の最後に、5月に現地視察でお世話になった谷口畜産の谷口拓也氏による「大会宣言」が行われました。

読み上げられた大会宣言のなかで、
「・・・(前略)
鳥取県牛肉販売協議会ならびに会員生産者は、持続可能な牛肉生産の実現と、鳥取県産牛肉に対する消費者の信頼と支持を獲得するために、「長期的ブランド戦略の構築」と「川上から川下まで連携した地域経済の活性化」の実現に向けて、生産者・食肉流通業者・消費者、それぞれが三位一体となった事業展開を図らなければならない。さらに、行政や観光業界、旅館業界などあらゆる方面とも連携を図り、全力で取り組んでいかなけらばならない。
(後略)・・・」
と、私達旅館業界との連携について触れて頂きました。
今後とも鳥取和牛のブランド化に向けて、一緒に頑張っていければと思います。
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地元の日本海新聞に掲載されました。

