カニは鮮度が命。活きたまま水揚げできる漁港は、越前から山陰のみといわれています。
当館では、活松葉ガニの美味しさにこだわり、
「その日水揚げ」「3日前予約」「解禁期間のみ」
にこだわります。
■その日水揚げ
当館の松葉ガニは市場からすぐに持ってきてもらっています。
水揚げして活きたままの松葉ガニをその日にさばくからこそ、本来の味をそのままにご提供できます。水揚げして何日も経った松葉ガニは、仮に活きていたとしても痩せて味が落ちてしまっています。
その日水揚げにこだわるからこそ、漁師さんがお正月休みでのカニ漁がない期間は、当館では松葉ガニが提供できません。大晦日から正月明けの期間は一年で最もハイシーズンで、松葉ガニを食べたいというお客様のご要望も数多くあります。しかし、年末に獲ってから時間の経った松葉ガニでは、決してお客様にご満足いただけないはずです。
正月のハイシーズンに、最もお値段の高い松葉ガニコースをお出しすれば、当館としては売上はもっと上がります。しかし、痩せて弱った松葉ガニで売上を上げるのは、当館の矜持が許しません。お客様の「美味しい」のために、一番売れるお正月にあえて松葉ガニを売らない。これが当館のこだわりです。
やはり、松葉ガニは「その日水揚げ」が一番美味しいのです。
■3日前予約
また、荒れた日でカニ漁が少ない時のために、松葉ガニ専用プラン・別注松葉ガニの予約は3日前までにお願いしております。
荒天時には市場に松葉ガニが少量しか水揚げされません。当日ではいくら仲買人にお願いしても、当館クオリティに達していない松葉ガニしかない場合があるためです。
荒天時でも良質の松葉ガニを仕入れるためには、事前に仲買人に優先確保をお願いしておかなければなりません。
以上の理由で、お客様には大変ご不便をおかけしますが、「3日前までのご予約」をお願いしております。
■解禁期間のみ
また当館は「11月6日から3月20日の解禁期間」でしか松葉ガニはお出ししません。それは「その日水揚げ」にこだわるからです。越前から山陰にかけては地物ズワイガニ(松葉ガニ・越前ガニ・間人ガ二)は3月20日までしか漁ができません。3月21日を過ぎて地物ズワイガニを提供している旅館は、その日水揚げではないカニを使用していることになります。
■生簀(いけす)の松葉ガニ
お正月期間に松葉ガニを出しているお店。禁漁期間に松葉ガニを出しているお店。また荒天時のその日にでも松葉ガニを出せるお店は「生簀(いけす)」に松葉ガニを入れている場合が多いようです。生簀に入れておくと、禁漁期間であろうと荒天時であろうと、いつでも松葉ガニをお客様に提供できます。
しかし、生簀ではエサやりをしませんし、活動していた海底とは水圧・水流・水温が異なることもあり、生簀にいる時間が長ければ長いほど、カニは身が細っていきます。生簀に長く入っていた松葉ガニではその日水揚げの松葉ガニと比べて味が変わってきます。
生簀に保存した松葉ガニをお客様に提供するのは「いつでも松葉ガニを売りたい」というお店側の都合のような気がします。お客様のためには「その日水揚げ」が一番新鮮で美味しい松葉ガニのはずです。
生簀保存のお店の場合は、生簀の中にどれくらいの期間松葉ガニが入っているか事前に確認したほうがよいと思います。期間が短ければ味はそれほど落ちないのですが、期間が長い場合は痩せて味の落ちた松葉ガニの可能性があります。松葉ガニは高額ですので、せっかくですから味の落ちていない松葉ガニがいいですね。
生簀保存のお店が謳う「生簀で活きたカニを食事直前に調理します」というキャッチコピーは、一見新鮮で美味しそうに感じます。しかし実は逆であることも場合によってはあるかもしれません。
当館の活松葉ガニは「その日水揚げ」にこだわり、「予約は3日前まで」、「カニ解禁期間のみ」である理由は、上述のとおり、お客様の「美味しい」のためです。
これからもお客様に喜んでいただける料理をご提供できるよう、スタッフ一同精進してまいりたいと思います。